出会い編1
「君の事はとても評価している。どうだね、我が城里学園に入学しては…」
去年の一月頃学園の関係者が朝輝の元を訪れてそう言った。
朝輝の父は大学の助教授、母は専業主婦である。
それなりに裕福ではあるが、本当に望む進路に進むのは金銭的にかなり苦しい事は十分に分かっていた。
そんな時に舞い込んだ話だった。
「学費もこちらの期待にそってくれれば全額免除しよう」
そう言われて、朝輝は入学を決心した。
しかし、入学当初は、やはり家庭が中流だったためか、周囲からかなり冷たい態度をとられていた。
そんな頃彩条院卓実と出会った。
「あ」
四月ももう数日で終わるというある日、屋上の扉の横で眠っていた卓実は、頭上からした声で目を覚まし何の気なしに声のした方に首を持ち上げた。
「ごめん。起こしてしまって」
優しい笑顔でそう言われた卓実は、黙って立上がり、屋上を出ようとした。
しかし、屋上を出てすぐ卓実は足を止め振り返らざるおえなかった。
すれ違った少年が、さっきの笑顔からは考えられないような哀しい顔をしたからだ。
卓実は、困惑しながら立ち尽くしていた。
すると、少年はまた優しい笑顔を自分にむけ、
「困った顔、してますよ」
と言った。
その時卓実は、今迄知ることのなかった感情を知ってしまった。
「…あんた…名前は?」
卓実の威圧を感じる質問にも、少年は笑顔で答えた。
「あ、藤崎です。藤崎朝輝。あなたは?」
「…卓実だ」
卓実は、問いにそう答えた。
その時、朝輝は笑顔で手を差し延べた。
そして、卓実はその手をとった。
二人にとって、お互いがこの学園での初めての゛友情″だった。