私立城里学園。
名家の子息ばかりが通う男子校に藤崎朝輝は通っている。
家は中流としかいえない家庭だが、頭脳は全国でもトップクラスである。
今日も忙しい放課後に全国模試一位になったということで、学園長に呼び出され小一時間賞讃とプレッシャーをもらったところだ。
学園長室を出た朝輝は、腕時計にしきりに視線を落としながら、屋上への道を急いでいた。
階段を駆け上り、屋上の扉を開けると、梅雨の湿った風を受けながら彩条院卓実が立っていた。
「ゴメン、遅れて」
朝輝がそう言うと卓実は静かな微笑みを見せながら、朝輝のいる扉の方にやって来た。
「走って来たの?」
「あっ…、う、うん。まぁね」
開けられたままだった扉を閉めながら耳元でそう囁いた卓実に、朝輝は少し焦りながら答えた。
「息切らして、汗もかいてるし…あの後みたいだな」
そう言った次の瞬間には二人の唇は重なっていた。
朝輝は、その口付けの意味を知っていた。
それでも拒むことはない。
「んっ…う…ん、卓実…卓…」
より深くなっていく口付けによって朝輝の言葉は続かない。
卓実は、朝輝の舌を貪りながら朝輝のネクタイを解き、シャツのボタンを外した。
「朝輝…」
卓実が露わになった胸に口付けをしても朝輝は拒みはしなかった。
だが……

決してそれを望んでいるわけでもなかった。
「はぁ…あっ…んっ」
快楽を知ってもまだ朝輝の心は揺れていた。
…いや、心は決まっていた。

実行する術を知らないだけで…。